薬歴管理室

薬歴管理室では、入院および外来の患者さんに適切な薬物治療が提供できるように、薬剤師を配置して管理しています。

薬剤管理指導・病棟薬剤業務

入院された患者さんのお薬に応じてさまざまな薬学的管理を行うために、各病棟に担当薬剤師を配置しています。お薬についての作用や副作用の説明だけでなく、これから始まる薬物治療の投与スケジュールや退院に向けての様々な情報提供を、患者さんの個々の背景に沿った形で行っています。

病棟の担当薬剤師は、入院した患者さんが持参されたお薬の確認を行い、服用方法やお薬の飲み合わせ、処方内容の確認も行っています。患者さん本人やご家族と面談させていただき、アレルギー歴、副作用歴などの得られた情報を医師等へ提供するとともに、処方設計・提案を行っています。
また、病棟カンファレンスや回診にも参加して、他の医療スタッフと情報交換を行い、よりよい医療を提供できるよう活動しています。

当院の薬剤部では、数名の薬剤師で構成されたユニット制で病棟活動を行っており、ユニット内の薬剤師カンファレンスを実施し、病棟業務での情報共有や新人教育などを効率よく行っています。

 

写真. 病室での薬剤管理指導の様子

写真. 病室での薬剤管理指導の様子

写真. 薬剤師カンファレンスの様子

写真. 薬剤師カンファレンスの様子

 

外来化学療法センター

外来化学療法センターではがん専門薬剤師2名を含む6名の薬剤師が、抗がん剤治療を受けられる患者さんを中心に、薬剤管理指導を行っています。担当薬剤師は、医師、看護師などの医療スタッフと情報を共有し、患者さんに外来での最適ながん化学療法を提供できるようにチーム医療に努めています。
薬剤師は、がん患者さんの抗がん剤が投与スケジュール(レジメン)通りに投与されているかの確認や併用薬の抗がん剤との飲み合わせ、内服抗がん剤の指導、オピオイド(医療用麻薬)の服薬指導などを行っています。内服抗がん剤では服用方法・スケジュールを分かりやすく説明することで、治療効果を落とすことなく副作用への対応が出来る体制となっています。
当院では地域完結型の医療を提供することを目的としているため、地域のかかりつけ薬局とも連携をとって、抗がん剤治療を受ける患者さんの投与状況などお薬についての情報を共有しています。また、一部の患者さんでは、かかりつけ薬局薬剤師が患者さんの同意を得て、当院の電子カルテの一部を情報共有できる取り組みを行っています。

写真. 外来化学療法室でのミーティングおよび薬剤指導の風景写真. 外来化学療法室でのミーティングおよび薬剤指導の風景
写真. 外来化学療法室でのミーティングおよび薬剤指導の風景


写真. 担当薬剤師による患者さんの抗がん剤投与スケジュールの確認作業の様子

 

専門外来 (感染症科外来)

写真. 専門外来の服薬指導室(相談室3)

東海ブロックのエイズ診療ブロック拠点病院でもある当院では、HIV/AIDS患者さんに対してチーム医療を実践しています。その中で、薬剤部からは専任薬剤師4名が外来に通院されているHIV/AIDS患者さんに対して抗HIV療法の開始前からの服薬指導を実施しています。
HIV感染症の治療は生涯に渡るアドヒアランスの維持(服薬の意味を理解してきっちりお薬を飲むこと)が不可欠であり、アドヒアランスが低下すると薬剤耐性ウイルスの誘導を招き治療失敗に至る可能性が高くなります。またプロテアーゼ阻害剤に代表される抗HIV薬は飲み合わせが問題となるお薬が非常に多く、常にその可能性について注意を払わなくてはなりません。そのために薬剤師が飲み合わせの可能性を十分に加味した上で、その患者さん個々にあった治療薬を主治医に提案し、服薬アドヒアランスおよび副作用の確認などを実施しています。治療開始後も定期的に患者さんに対して服薬指導を実施し、アドヒアランスが維持できているか、副作用が出現していないか、などの確認を実施しています。週1回行われるカンファレンスには医師、看護師、臨床心理士、社会福祉士の他に薬剤師も参加し、多職種で治療方針の決定および問題点の抽出、解決策の立案について等の患者情報などを共有しています。

表. 専門外来での服薬指導の流れ

また日本で承認されている抗HIV薬のほとんどが、日本人での臨床試験を実施することなく市販されていることから、添付文書などに記載されている外国人での副作用の発現率が、日本人のそれは異なる場合があります。そのため当院で抗HIV療法を実施されているHIV/AIDS患者さんのデータの集積することもエイズ診療ブロック拠点病院の責務であると考えており、服薬指導などを通して得られた結果は積極的に学会等にて発表しています。