院長挨拶

新任の挨拶

院長 小寺 泰弘


 4月1日付けで院長として着任いたしました。この場をお借りして新任のご挨拶を申し上げます。

 私は1985年に名古屋大学医学部を卒業、小牧市民病院で初期研修後5年間外科医として勤務しましたが、この間に国立がんセンターで3か月の見学実習の機会をいただき、大きな刺激を受けました。1991年に名古屋大学第二外科学教室(当時)に帰局、非常勤医員として消化管外科の診療をする傍ら、免疫学教室に出入りして腫瘍マーカーや抗癌剤感受性の研究に触れさせていただきました。それでもがん専門病院で勤務する希望を持ち続けていたところ運よく愛知県がんセンター消化器外科に赴任させていただき、1994年から7年間勤務させていただきました。2002年に名古屋大学消化器外科学教室に戻り、医局長として関連病院の人事に関わりました。そして2011年に消化器外科の教授を拝命しましたが、2016年より副院長として、2019年より病院長として病院全体の管理運営に携わりました。病院長の時期は新型コロナウイルス感染拡大と重なり多くの苦労がありましたが、職員の絶大な協力を得て主に重症化した感染者の治療に取り組む一方で、大学病院でしか実施できない診療を可能な限り継続する方針といたしました。病院長としては何とか厳しい時期を乗り越えた感はありますが、消化器外科の教授としてはやや不完全燃焼の感を残しての退職となりました。

 このたび、東海地方で長い歴史と伝統のある名古屋医療センターで勤務の機会をいただいたことについて、大変光栄に感じるとともに、その責任の重さをひしひしと感じております。私にとって常勤の医師として年単位で勤務する病院としては4つ目ということになりますが、これまでの3つの病院は規模や地域における役割も様々であり、私自身の役割も各々の病院で異なったものでありました。名古屋医療センターは地域の中核病院として救急を中心とした急性期医療を前面に押し出して地域の期待にお応えしながらも、国立病院機構の中でも臨床研究のセンター機能を備えた病院として、高度医療や臨床研究を積極的に推進するべき役割もあると認識しております。この病院が持つ大きなポテンシャルを生かしながら、そうした重要な使命をしっかりと果たせるように尽力したいと思います。とは言え、これまでに勤務したことのない病院でいきなり病院管理者の役割をいただくのは試練であるとも感じております。職員の皆様からいろいろなことを教わりながら、頑張って義務を果たしてまいりたいと思います。

 何と申しましても令和6年4月から医師働き方改革が本番を迎えます。政策を模範的に実現すべき立場の病院として真摯に取り組む必要がありますが、特に急性期医療に向き合う医師がこれまで過度に求められていたと私自身も感じてきた労働量を軽減させながらも患者さんに大きなデメリットが生じないように医療を継続するためには、まずはそもそも論の部分で患者さんにご理解をいただく努力を今後も続けていくとともに、相当の創意工夫と柔軟な発想力が求められます。この点でも職員の皆様に御協力をお願いしながら誠意をもって取り組む所存です。ひとりひとりの英知を結集して患者さんに安心して診療をお任せいただけ、且つ職員が満足して勤務できる病院であり続けられるよう、力を合わせて行ければと考えております。