整形外科・リウマチ科の概要

整形外科・リウマチ科は、骨や関節、じん帯、神経などの「運動」に関係する器官を扱っています。
当院では、特に四肢の関節疾患について診断と治療を行っています。人工関節手術は50年以上の歴史があり東海地方で有数の症例数です。複数の関節外科医が協力して患者様に最良で安心できる手術を提供できる診療体制をとっています。さらに最新のコンピューター支援技術を取り入れて治療成績の向上に取り組んでいます。救急病院として四肢の外傷(高エネルギー外傷や高齢者の脆弱性骨折など)を受け入れて手術をしています。また、関節リウマチについては生物学的製剤やJAK阻害剤など最新の薬物治療を行っています。各診療科と連携して合併症を管理し安全な治療を心がけています。遠方からのご紹介で来院の方も多く、他の医療機関との連携を大事にしています。

 

特色

人工関節手術

変形性膝関節症、変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死、大腿骨内顆骨壊死などに対する人工関節置換術(膝、股、肘、足関節)、前足部の関節形成術を専門としています。当科で行ってきた人工関節手術は安定した長期成績を有しています。現在は、人工関節手術の前に三次元CT画像による手術シミュレーションと計画を行い、コンピューター支援手術により正確で安全なオーダーメイド手術を行っています。

人工膝関節に関しては、変形の程度によりますが、筋肉や皮膚への侵襲を可及的に少なくする最小侵襲手術手技(MIS)を用いて、かつ長期的な成績改善を第一優先として正確なインプラント設置を行っています。人工膝関節全置換術(TKA)だけでなく、下肢アライメントが保たれていて、外側の関節軟骨の変性が少ない場合には人工膝関節単顆置換術(UKA)を適応しています。

人工股関節に関しては、基本的に筋腱を温存した最小侵襲手技(MIS)による仰臥位前外側アプローチ(ALS) を用いて行っています。このアプローチの特徴は筋腱を傷めないことにより術後疼痛が少なく、歩行能力の改善が早く、術中出血量も少なく、後方支持組織の温存と関節包の修復により後方脱臼のリスクが極めて少ないというメリットがあります。

トラネキサム酸の術直前および関節内投与によって自己血貯血やドレーン留置を行っていません。人工膝関節置換術と人工股関節置換術をおこなった後は、歩行能力と関節機能の早期回復のために積極的なリハビリテーションを行い、退院後は日常生活動作の制限を設けず軽度のスポーツ活動を許可しています。

また、人工関節のゆるみや細菌感染、人工関節周囲の骨折に対する人工関節再置換術の経験も豊富です。人工関節再置換術後は初回手術時と同様に早期の歩行練習を開始できるようにしています。従来から同種骨バンクを備え広範囲骨欠損に対処してきましたが、近年、メタルオーギュメントや腫瘍用人工関節を取り入れて手術をしています。

手術後は地域のリハビリ病院やクリニックと連携して継続的にリハビリテーションを行い、人工関節定期検診で長期のフォローアップをしています。さらに、治療成績の向上のために臨床研究を行い人工関節手術の発展に寄与したいと考えています。

 ※人工膝関節置換術と人工股関節置換術についての説明は人工関節ドットコムのウェブサイト「膝や股関節の痛みには低侵襲で正確な治療が行われています。早めに専門医に相談ください」もご参照ください。
https://www.jinko-kansetsu.com/ask/403/


外傷・骨折手術

3次救急の指定病院として交通事故や高所転落などの重傷外傷に対して集中治療を行い、創外固定術ならびに骨折観血的手術を積極的に行っています。特に、骨盤と下肢外傷に対する経験は豊富です。さらに、下肢骨折後の感染や偽関節などの難治性骨折に対する治療にも取り組んでいます。また、高齢者の大腿骨頚部骨折、転子部骨折、上腕骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、人工関節周囲骨折などの外傷に対して積極的な手術治療を行っています。大腿骨頚部骨折に関してはなるべく早く手術をおこない、地域連携パスにより、地域のリハビリテーション病院と連携して手術後の歩行能力と関節機能の回復、高齢者の自立した生活を支援しています。



関節リウマチ・骨粗鬆症

当科は関節リウマチの薬物療法や手術療法については長い伝統と実績があります。正確な診断を行い、寛解(痛みが軽くなり、日常生活に支障がない状態)をめざして標準的な免疫抑制剤、生物学的製剤と最新のJAK阻害剤などの薬物治療を積極的に行っています。院内の各診療科と連携してリスクマネージメントに配慮して治療を行っています。関節リウマチ治療薬の臨床治験を多数取り扱い、国立病院を中心とした多施設共同研究Ninjaや、名古屋大学整形外科リウマチグループTBCRの関連施設として多施設共同研究を行い多くの先端的な業績をあげてきています。また、高齢者の骨粗鬆症に対して薬物治療を提供し、地域のクリニックと連携して継続的な治療をお願いしています。

 

臨床実績

令和元年度

手術項目 手術件数
人工関節置換術(膝) 204
人工関節置換術(股) 127
人工関節置換術(肘) 6
人工関節置換術(足) 2
人工関節再置換術 26
人工骨頭挿入術 92
関節形成術(足)、外反母趾 22
その他 577

 

連携医療機関へのメッセージ

患者様に最良で安心できる人工関節手術を提供し、医療の質と患者サービスの向上に努めています。人工関節手術と骨折手術、関節リウマチ治療に最新の知見を取り入れると同時に治療の発展に寄与したいと考えています。紹介の患者様は病診連携室を通して外来予約が可能です。外傷など緊急時の受診についてはER(救急外来)を通しての24時間の対応に心がけています。他院入院中の患者様の当院への入院のご要望については紹介状を用意して頂ければ病診連携室を通して相談させていただきます。

(文責:整形外科科長、服部陽介)



LORIS Study 高齢発症リウマチレジストリ研究について

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