心臓血管外科の概要

2013年7月より、萩原、中山の2名が、新たに心臓血管外科に赴任して参りました。スタッフ増員に伴い、心臓外科手術、緊急手術対応を充実させるべく、尽力致します。どうぞよろしくお願い致します。

 

特色

当科では主に成人の虚血性心疾患、弁膜症、胸部大動脈疾患に対する手術治療を行っています。虚血性心疾患に対するオフポンプ冠動脈バイパス術など、手術合併症を回避する努力はもちろん、長期開存性を考慮した動脈グラフトデザイン、僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術など長期にわたり、高いQOLを維持し、生命余語を改善する治療を続けています。

【虚血性心疾患】
虚血性心疾患に対する治療は、循環器科のカテーテル治療と、心臓血管外科の冠動脈バイパス術があります。カテーテル治療は低侵襲であり、かつその進歩は目覚ましいものがありますが、それでも重症三枝病変、左主幹部病変に対するる治療は最新のランダム化試験でも冠動脈バイパス術が遠隔成績で優との結果が出ています。当科では長期開存に優れる動脈グラフトの多用、そのグラフトデザインの工夫など、冠動脈バイパス術の長所をさらに向上させる努力を続けています。

【弁膜症】
弁膜症に対する手術治療も生命予後改善効果が証明されています。最近増加傾向にあるのは僧帽弁閉鎖不全症や高齢者の大動脈弁狭窄症です。僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術、心房細動に対する不整脈手術(メイズ手術)による術後抗凝固薬の回避など術後QOLの向上に取り組み、また高齢者の大動脈弁狭窄症は術前合併症の多い疾患群ですが、前述の通り、積極的に治療に取り組んでいます。

【胸部大動脈疾患】
胸部大動脈瘤、急性大動脈解離に対する手術治療を行っています。対象患者群が高齢であり、かつては周術期合併症、死亡率の高い疾患でありましたが、最近では術中の臓器保護、周術期管理の向上に伴い、成績は向上しています。

 

連携医療機関へのメッセージ

前任地では、複雑病変、多様な術前合併症を有する方の手術も積極的に行って参りました。透析患者は血管病変が強く、手術リスクが高いとされていますが、5年間で21例の透析患者の手術を行い、死亡例もなく、1名の方がリハビリ病院への転院となりましたが、その他の方は独歩退院されました。
また、80歳以上の高齢者も、症状でお困りの方などは手術を勧めて参りました。5年間で24例(最高齢89歳)の方の手術を行い、死亡例なく、術前に重度心不全、長期人工呼吸であった1名以外の方は、全員自宅での自主生活に戻っています。
名古屋医療センターでも総合病院である強みを生かし、合併症を有する方の手術治療にも取り組んで参ります。またご紹介いただいた患者で、糖尿病、腎不全、消化器疾患など合併症を有する患者も各専門科と連携し、それら合併症も極力安定させてからお返し致します。