婦人科がん (子宮がん、卵巣がん、胚細胞腫瘍)

 婦人科がん (子宮がん、卵巣がん、胚細胞腫瘍) 婦人科とカンファレンスを行い、手術予定・診断結果を共有しつつ、治療法を相談しています。腫瘍内科は子宮体がんの化学療法、子宮頸がんの化学療法・化学放射線療法(毎週シスプラチン併用療法)、卵巣がんの化学療法を担当しております。

  • 卵巣がんの初回治療:進行度によって手術先行、術前補助療法+手術+術後補助療法、薬物療法中心での治療などが行われます。薬物療法の役割が大きいのが卵巣がんの特徴です。2020年前後で治療薬に大きな変化がでており、複雑化しています。BRCA遺伝子変異やHRDと呼ばれる因子の有無を確認し治療法や治療薬の決定に役立てています。カルボプラチン・パクリタキセル(TC療法)は一般的な3週ごとの方法以外に、治療効果が高いことが報告されているdose-dense TC療法を採用し、さらにご高齢の方にはカルボプラチン・パクリタキセルをともに毎週分割投与する方法を採用しております。カルボプラチンアレルギーの方には入院でのカルボプラチン脱感作療法を実施しています。ご病気の状況によってはTC療法にアバスチン/ベバシズマブを併用することがあります。術後の状況、BRCA遺伝子変異、HRD検査の結果によって、TC療法以外にニラパリブ(ゼジューラ)、オラパリブ(リムパーザ)、オラパリブ+ベバシズマブによる維持療法をご提案することがあります。
  • 卵巣がんの術後再発、手術困難な場合:TC療法の他、リポゾーマルドキソルビシン(ドキシル)、ゲムシタビンや分子標的薬(ベバシズマブ(アバスチン)、オラパリブ(リムパーザ))など薬物療法をうまく使って治療していきます。まれな卵巣腫瘍である胚細胞腫瘍に対するBEP・VIP・TIP療法にも対応しています。
  • 子宮頸がん:子宮頸がんの化学放射線療法では世界的な標準治療である毎週シスプラチン併用を採用しています。化学療法ではTC療法±ベバシズマブ、イリノテカンを行っています。2022年にペムブロリズマブ/キイトルーダが使用可能となり、TC療法またがTC+ベバシズマブ療法を併用することでより高い治療効果が得られるようになりました。すでにTC療法など初回治療が完了している方にはリブタヨ/セミプリマブという新規の免疫チェックポイント阻害薬が使用されるようになりました。
  • 子宮体がんの補助療法:術後再発リスクに応じて、再発予防を目的とした化学療法を行うことがあります。カルボプラチン・パクリタキセル療法(TC療法)とシスプラチン・アドリアマイシン(AP)療法が代表的です。TC療法は投与が簡便ですが、副作用として末梢神経障害(しびれ)が出現しやすいです。AP療法はTC療法と比べて点滴時間が長い、悪心リスクが高いといった特徴がある一方、しびれが問題となりにくい利点があります。両者の良し悪しをお話し決定しています。
  • 進行・再発子宮体がん:化学療法ではTC療法が中心となります。二次治療では免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ/キイトルーダ)とレンバチニブ(レンビマ)という治療法があります。