大人で使える薬を小児にも使えるように

大人で使える薬を小児にも使えるように

日本における再発または難治性のCD22陽性小児急性リンパ性白血病患者を対象としたイノツズマブ オゾガマイシンの第I相試験

[研究者] 国立病院機構名古屋医療センター / 堀部 敬三

[更新日] 2026.03.13

代表的小児がんである小児白血病

白血病は、血液をつくる場所である骨髄で異常な白血球が増え、正常な血液細胞が作れなくなる病気です。進行が速い急性と、ゆっくり進む慢性に分かれ、さらにリンパ性と骨髄性に分類されるため、合計で4つのタイプがあります。小児の白血病は、小児がんの約3分の1を占め,その約80%が急性リンパ性白血病です。リンパ球にはB細胞とT細胞がありますが、小児急性リンパ性白血病の80%以上が幼若なB細胞が起源です。そのため、白血病細胞の表面には、多くの場合、CD22というB細胞のマーカー(目印)がついています。

再発または難治性とは

再発とは、いったん症状がなくなり良くなった後に、再びがんが現れる状態をいいます。難治性とは、標準的な治療を行っても十分な効果が得られない状態を指します。

こうした場合には、従来の治療だけでは効果に限界があるため、新しい治療方法を検討する必要があります。

新しい治療「イノツズマブ オゾガマイシン」

イノツズマブ オゾガマイシンは、白血病細胞の表面にある“CD22”というマーカー(目印)を見つけて、そこを狙って攻撃する薬です。
イノツズマブ(抗CD22抗体)が誘導してCD22に結合した後、イノツズマブ オゾガマイシンは白血病細胞の中に取り込まれます。そこで、この薬の中に入っているカリケアマイシン誘導体という抗がん剤が放出され、これが白血病細胞のDNAにくっついて、構造を破壊します。これにより、白血病細胞は分裂できなくなり、最終的に白血病細胞は死んでいき、体外へ排出されます。

NHO名古屋医療センターの取り組み

NHO名古屋医療センターは、この計画において臨床試験の立ち上げや運営体制を整え担当しました。そこに企業からの支援や協力施設の参加も加わり、連携して準備を進めたことで、試験をスムーズに開始することができました。

小児への適応をめざした医師主導治験

成人に使える薬「ベスポンサ」(イノツズマブ オゾガマイシン)を小児にも届けるため、堀部医師が国内の専門の医師や病院と連携して、小児に届けるように体制作りをしました。

それに加えて、NHO名古屋医療センターが研究拠点としての機能・人材を備えていたため、リーダーとして研究全体を主導したのです。

イノツズマブ オゾガマイシンが子どもにも大人と同じように使えるかを調べるため、国内外で臨床試験が行われました。その結果、安全性が確認され、2024年3月から再発・難治性の急性リンパ性白血病(CD22陽性)の子どもたちにも、正式に使用できるようになりました。

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