どうやって調べるの?
およそ20,000個ほどあるといわれるヒトの遺伝子は「次世代シークエンサー」と呼ばれる機械で調べられます。
1970年頃、フレデリック・サンガー博士という人が遺伝子を読む技術を作りました。これは遺伝子という長い本を一文字ずつ読むようなものでとても時間がかかりました。2000年代になると次世代シークエンサー(NGS)が開発されました。この機械は遺伝子を分割して一斉に分担して読むという仕組みで、遺伝子を効率的に速く読めるようになりました。
次世代シークエンサーが登場したことで、病気の研究や治療が大きく進みました。今では、がんや遺伝性疾患、感染症などの研究や治療に欠かせない技術です。
遺伝子を調べると何がわかる?
遺伝子を調べると様々なことがわかります。病気の診断や遺伝的な体質や病気が親から伝わる可能性、薬の効果や副作用の出やすさなどを調べることができます。
がんは遺伝子にキズがつくことでがん細胞になります。このがん細胞の遺伝子を調べることにより、キズのついた遺伝子を見つけ出し、治療に活かすことができます。
造血器腫瘍遺伝子パネル検査(がん遺伝子パネル検査)の目的は、腫瘍細胞でキズのついた「遺伝子」を詳しく調べることで、遺伝子の異常から正確に診断・分類し、患者さんごとに適した治療を提供することです。
造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト®」
「ヘムサイト®」は、造血器腫瘍と呼ばれる血液のがんに関係する重要な遺伝子を一度に調べる検査です。452種類の遺伝子を対象として調べることができます。
患者さんから、がん細胞が含まれる血や組織と正常な細胞を採取します。結果から正常な細胞の特徴を除くことで、腫瘍のみに生じている遺伝子異常を検出することができます。
「ヘムサイト®」では、DNA・RNAを抽出して、NGSによって解析します。得た情報を解析プログラムに入力して遺伝子の異常を検出します。
解析結果をもとに、患者さんの診断や治療方針の決定に役立てます。患者一人ひとりの病気の種類や状態に合わせて、最適な治療や薬を選ぶことができます。これをオーダーメイド医療と言います。
NHO名古屋医療センターが準備となる研究プロジェクトを行う
2016年から2018年にかけて、NHO名古屋医療センターが中心となり、AMEDという機関の研究プロジェクトを行いました。この研究では、血液のがん(造血器腫瘍)を詳しく調べる遺伝子検査が、実際の医療の場で使えるかどうかを確かめました。
100人の血液のがんの患者さんに検査を行い、専門家がその結果を詳しく分析し、患者さんに伝えました。その結果、約半分の患者さんで、治療や診断に役立つ情報が見つかりました。
この研究から、血液のがんを調べる遺伝子のパネル検査がとても重要であり、この検査を病院で使えるようにするための準備が必要だとわかりました。
開発から販売までの流れ
「ヘムサイト®」の開発に関わる研究チームは、血液のがんを詳しく調べる遺伝子パネル検査がどれくらい役に立つのかを確かめる試験を行いました。この試験は、いくつかの研究機関が協力して進めました。
その結果、「ヘムサイト®」はとても重要な検査であると認められ、厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象となりました。(この制度のおかげで、通常より早く審査が進み、販売が許可されました)
そして、2025年3月から、日本で初めて血液のがんやそれに関連する病気を調べる検査として、検査センター向けに販売が始まりました。
製薬会社との共同研究コンソーシアムで共同開発
このように、臨床試験を通じて「ヘムサイト®」の臨床的有用性が確認され、造血器腫瘍の診断や治療法の選択、予後予測に役立つ遺伝子パネル検査として承認されています。
2020年3月から始まり2025年3月
NHO名古屋医療センターが参加した共同研究コンソーシアムにて共同開発した造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト®」について、大塚製薬が国内で初めて造血器腫瘍または類縁疾患ゲノムプロファイリング検査として保険適用を取得しました。