包括同意について


医療実施の主役は患者さんです。医療スタッフや病院システムは、患者さんによりよい診療を提供するために構築されています。安全で質の高い医療を実施するために、必要な情報を入手し、検査や処置を実施する必要があります。また医療機関として多くの患者さんが適切に医療を受けるために、モニタリングの必要性が生じます。明日のよりよい医療を継続的に提供するために教育機関としての責務もあります。
当院では、診療上の必要があると認められた、ある程度以上のリスクのある処置、検査(手術・麻酔・輸血)については原則として事前に説明を行い、書面にて同意をいただいて診療しています(個別同意といいます)。
一方で、以下の院内で行われる行為については、個別に書面等による同意を得る手続きは行わず、包括的に同意をいただいたものとして、施行させていただきます(包括同意といいます)。医療倫理上の原則、個人情報保護等の法令を遵守して実施しています。
ご不明な点がございましたら、担当の医師または看護師、その他スタッフまでご遠慮なくお申し出ください。

  1. 診療に関する包括同意項目
    • 一般項目
      問診、視診、身体診察、体温・身長測定、血圧測定、リハビリテーション、カメラ等による患部撮影、など
    • 投薬・注射等
      通常の投薬、注射、点滴ラインの確保、持続皮下留置針の挿入、局所麻酔、酸素投与など
    • 処置等
      創傷(キズ)処置、痰などの吸引、膀胱留置カテーテル、口腔ケア、止血処置、酸素投与、チューブ・ドレーン類の固定・脱着、浣腸、小皮膚切開・縫合など
    • 検査・モニター等
      血液検査、尿・便検査、薬物中毒検査、痰などの微生物学的検査、心電図・超音波・呼吸等の検査、X線・CTなどの画像検査、経皮酸素飽和度測定など

  2. 地域の医療機関等との情報共有
    地域の医療機関から当院へ紹介された場合、または当院から地域の医療機関に紹介した場合には、より適切な診療を行うために、当院の電子カルテの情報の一部が地域の医療機関からも閲覧可能になります。
    また本邦におけるより良い医療の提供のために、診療に関連する学会等から診療データの提供を依頼される場合があります。当院でもそのような際には個人情報には配慮したうえで情報を共有しています。例えば、全国の大半の病院が参加する外科系関連学会によるNational Clinical Database事業において、当院の外科、心臓血管外科、乳腺外科が関わる手術関連情報は一般社団法人National Clinical Databaseと共有されています。院内がん登録事業において、国立がん研究センターに提出することが法律で義務づけられており、その二次的な利用がなされます。

  3. 初期臨床研修医の診療、医療系学生・研修生の研修・見学
    当院は、厚生労働省が定める臨床研修病院です。初期臨床研修医が、適切な指導のもと、診療行為に携わっています。また、当院は、医療職の育成を担う臨床実習機関でもあるため、医療系の学生や研修生、特定行為研修の看護師等に、臨床現場の見学・実習・研修に参加させることがあります。

  4. 診療に関する動画・写真撮影
    当院は、患者さんの病巣等の評価、治療方針を決定するために診療中に動画や写真を撮影することがあります。また医療者の医療技術の向上のために、これらを利用する場合があります。この場合、「個人情報保護法」、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」等の法令、指針に従い、匿名化を図るなど、個人が特定できないよう厳重に管理します。

  5. 防犯・監視カメラ
    院内には、防犯および患者さんの安全確保(転倒・転落など)のため、建物内・病棟等に設置された監視用のカメラがあります。撮影された動画は、プライバシーに配慮し、厳重に管理します。動画データは、一定期間を経て消去されます。