血管造影検査とは

カテーテルという細い管を脚の付け根や腕の血管から目的とする臓器の血管まで挿入し、カテーテルの先端から造影剤(血管を見やすくする薬)を注入してX線で連続撮影する検査で血管の形態や走行、血流状態を確認して血管の診断を行います。
当院では、血管の診断のみならず、脳卒中や心筋梗塞、肝腫瘍等に対して血管内治療も積極的に行っております。

 

検査設備

FPD(フラットパネルディテクタ)搭載のバイプレーン型装置を2台導入しております。 これらの装置は高画質な撮影ができると同時に、使用する放射線量が低く抑えられています。また、バイプレーン装置(X線管球とFPDが2つ搭載)のため2つの方向から同時に撮影できるようになりました。これらにより、確実でより安全な検査・治療の施行、そして更なる被ばくの低減が可能となりました。また、撮影したデータを処理し3次元で観察することができる機能を搭載しており、診断や治療に役立てています。
2台の装置は検査する部位によってどちらの装置・検査室を使うかが決まります。

2023年7月に、血管撮影装置2台のうち1台がフィリップス社製の新世代の血管撮影装置(Azurion7 B20/12)に更新しました。この装置はカテーテル治療の手技をサポートする様々な機能を有し、従来の装置よりもさらに高精度のカテーテル治療が実現可能となりました。
また、合併症のリスクを最小限に抑える機能や被ばく線量を低減させるテクノロジーも実装されています。

新導入装置
フィリップス社製
Azurion7 B20/12
フィリップス社製
Allura Xper FD20/10

 

検査の流れ

  1. 各科で依頼された検査や治療は、予約制になっています。
  2. 施行前には入院が必要で、事前の検査をして備えていただきます。
  3. 手首や肘、鼠径部(股関節付近)の動脈から適当な位置にカテールを送り込み所定の位置に達した ことを確認した後造影剤を注入し検査を行います。
  4. 検査する内容によりますが検査時間は30分~1時間、治療で2時間~4時間程度です。

※緊急性の高い急性心筋梗塞、脳卒中等の血管障害のなどの患者様に対しては24時間体制で即日検査、治療できる体制をとっています。



第1血管撮影室では

主に循環器内科が心臓や下肢の検査・治療を行います。

カテーテル検査室の
検査風景

 

心臓血管

通常の心臓血管造影検査の他に、心臓に血液を送っている血管(冠動脈)が細くなって生じる心筋梗塞などに対して、アイバス(血管の中を超音波で見る装置)を使用して血管内の状態を確認しながら、バルーンカテーテル(細い風船のついたカテーテル)を使って狭くなった血管をふくらませる治療やステント留置(細い筒状の金属網を狭くなった血管に入れる治療)を行っています。 さらに、アブレーション(不整脈に対し、カテーテル先端の電極と背中に貼った対電板との間に高周波を流し、心臓への不正な回路を遮断する治療)や、ローターブレ―ター(硬い石灰化病変で狭くなった血管に対し、ダイヤモンドのバーを回転させて削り取る治療)などの治療も行っています。

バルーンカテーテル

冠動脈ステント

ステント留置前、冠動脈が狭窄して先が見えません

狭くなっている部分にガイドワイヤーを通しバルーンカテーテルを膨らませている

ステント留置後、冠動脈がステントにより拡がり先が見えます



下肢血管

通常の下肢血管造影検査の他に足へ流入する動脈が狭くなっているか、閉塞している閉塞性動脈硬化症などの狭くなった動脈を、バルーンカテーテル(細い風船のついたカテーテル)を膨らませ血管を拡げたり、ステントと呼ばれる細い筒状の金属網で固定し血管を拡げる治療なども行っています。

治療前、脚の付け根の
動脈(右脚側)が狭くな
っています

狭くなっている部分に
バルーンカテーテルを
膨らませている

治療後、ステントを留
置して脚の付け根の動
脈が拡がりました



第2血管撮影室では

主に脳神経外科、救急集中治療科、消化器内科が頭頚部、胸部、腹部、四肢の検査・治療を行います。

血管撮影室の検査風景

 

脳血管

通常の脳血管造影検査の他に、脳血管の中にできた動脈瘤に対しコイルをつめて治療するコイル塞栓術や、脳梗塞で脳血管内につまった血栓を除去する血栓回収術、さらに動脈硬化によって細くなった頸動脈に対し、細い風船を使って狭くなった血管をふくらませステント(細い筒状の金属網を狭くなった血管に入れる治療)留置をする治療などを行っています。

脳動脈瘤塞栓術で用いられる様々な形状のコイル。

塞栓術前の脳動脈瘤
(矢印の先が動脈瘤)

塞栓術前の脳動脈瘤
(3次元立体画像で動脈瘤の詳細な情報が得られます)

塞栓術後の脳動脈瘤
(動脈瘤にコイルが詰められて血流が入らなくなっています)

血栓回収術で用いられる機器

血栓回収術前
(矢印の部分に血栓があり閉塞しています)

回収された血栓

血栓回収術後
(閉塞していた血管が再開通しています)

末梢への塞栓を保護するフィルターデバイス

ステント留置術前
(矢印の部分が狭窄しています)

ステント留置術中
(末梢に血栓が飛ばないようにフィルターで保護しながら拡張します)

ステント留置術後
(ステントにより血管が拡張しました)



腹部血管

通常の腹部血管造影検査の他に、大腿部から腹部に進められたカテーテルによって、腫瘍の栄養血管を意図的に閉塞させたりする栄養血管の塞栓術や、癌にたいしてダイレクトに抗がん剤を注入する抗がん剤の動脈注入療法、また、外傷等で損傷した血管をコイルにより止血を行ったりする止血術などの治療も行っています。