血管造影検査とは
カテーテルという細い管を脚の付け根や腕の血管から目的とする臓器の血管まで挿入し、カテーテルの先端から造影剤(血管を見やすくする薬)を注入してX線で連続撮影する検査で血管の形態や走行、血流状態を確認して血管の診断を行います。
当院では、血管の診断のみならず、脳卒中や心筋梗塞、肝腫瘍等に対して血管内治療も積極的に行っております。
検査設備
当院では、FPD(フラットパネルディテクタ)搭載のバイプレーン型装置を2台導入しております。
FPDを搭載している装置は高画質な撮影ができると同時に、使用する放射線量が低く抑えられています。また、バイプレーン装置(X線管球とFPDが2つ搭載)のため2つの方向から同時に撮影することができます。そのため、確実でより安全な検査・治療の施行、更なる被ばくの低減が可能となりました。他にも撮影したデータを処理し3次元で観察することができる機能を搭載しており、診断や治療に役立てています。
2台の装置は検査する部位によってどちらの装置・検査室を使うかが決まります。
フィリップス社製
Allura Xper FD20/10
東芝社製
INFX-8000V
検査の流れ
- 各科で依頼された検査や治療は、予約制になっています。
- 施行前には入院が必要で、事前の検査をして備えていただきます。
- 手首や肘、鼠径部(股関節付近)の動脈からカテーテルを送り込み所定の位置に達したことを確認した後造影剤を注入し撮影します。
- 検査する内容によりますが検査時間は30分~1時間、治療で2時間~4時間程度です。
※緊急性の高い急性心筋梗塞、脳卒中等の血管障害の患者様に対しては24時間体制で即日検査、治療できる体制をとっています。
血管撮影室(第2血管撮影室)では主に脳外科と消化器科が頭頚部、胸部(心臓以外)、腹部、四肢の検査・治療を行います。
血管撮影室の検査風景
脳血管
通常の脳血管造影検査の他に、脳血管の中にできた動脈瘤に対しコイルをつめて治療するコイル塞栓術や、脳梗塞で脳血管内につまった血栓を除去する血栓回収術、さらに動脈硬化によって細くなった頸動脈に対し、細い風船を使って狭くなった血管をふくらませるステント(細い筒状の金属網を狭くなった血管に入れる治療)留置をする治療等を行っています。
脳動脈瘤塞栓術で用いられる様々な形状のコイル。 |
塞栓術前の脳動脈瘤 |
塞栓術前の脳動脈瘤 |
塞栓術後の脳動脈瘤 |
血栓回収術で用いられる機器 |
血栓回収術前 |
回収された血栓 |
血栓回収術後 |
末梢への塞栓を保護するフィルターデバイス |
ステント留置術前 |
ステント留置術中 |
ステント留置術後 |
腹部血管
通常の腹部血管造影検査の他に、大腿部から腹部に進められたカテーテルによって、腫瘍の栄養血管を意図的に閉塞させたりする栄養血管の塞栓術や、癌にたいしてダイレクトに抗がん剤を注入する抗がん剤の動脈注入療法、また、外傷等で損傷した血管をコイル等により止血を行ったりする止血術等の治療も行っています。
心臓血管
心臓カテーテル検査室(第3血管造影室)では主に循環器科が心臓や下肢の検査・治療を行います。
心臓カテーテル検査室の検査風景
通常の心臓血管造影検査の他に、心臓に血液を送っている血管(冠動脈)が細くなって生じる心筋梗塞等に対して、アイバス(血管の中を超音波で見る装置)を使用して血管内の状態を確認しながら、バルーンカテーテル(細い風船のついたカテーテル)を使って狭くなった血管をふくらませる治療やステント留置(細い筒状の金属網を狭くなった血管に入れる治療)を行っています。 さらに、アブレーション(不整脈に対し、カテーテル先端の電極と背中に貼った対電板との間に高周波を流し、心臓への不正な回路を遮断する治療)や、ローターブレ―ター(硬い石灰化病変で狭くなった血管に対し、ダイヤモンドのバーを回転させて削り取る治療)等の治療も行っています。
バルーンカテーテル
冠動脈ステント
ステント留置前、冠動脈が狭窄して先が見えません |
狭くなっている部分にガイドワイヤーを通しバルーンカテーテルを膨らませている |
ステント留置後、冠動脈がステントにより拡がり先が見えます |
肢血管
通常の下肢血管造影検査の他に、足へ流入する血管が狭いかあるいは閉塞している部分をバルーンカテーテル(細い風船のついたカテーテル)を膨らませて拡げたり、ステントと呼ばれる細い筒状の金属網で固定し拡げる治療等も行っています
治療前、脚の付け根の動脈(右脚側)が狭くなっています |
狭くなっている部分にバルーンカテーテルを膨らませている |
治療後、ステントを留置して脚の付け根の動脈が拡がりました |