膠原病内科・リウマチ科の概要

 当科は自己免疫疾患・リウマチ性疾患を専門とする名古屋地区、東海地区では数少ない内科系診療科です。膠原病の症状は多彩で、皮膚、筋骨格、肺、心、腎、消化器、神経、血管など全身臓器に障害をきたす可能性があり、診断や治療に難渋することも少なくありません。そのため、当科が膠原病診療の中心的役割の一端を担いながら、各専門科とも連携して診療を行っています。H24年度からは関節エコーを導入し、関節リウマチ(RA)をより早期に診断、早期の治療が可能となってきました。活動性の高い難治性の関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、脊椎関節炎(強直性脊椎炎)患者に対しては、抗サイトカイン療法として生物学的製剤による治療を積極的に行っています。
 名古屋地区のみならず、名古屋市外や近隣県からも診断や治療に難渋する症例を多数御紹介いただいています。

 

特色

 当科では関節リウマチ(RA)をはじめ、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚筋炎/多発筋炎、強皮症、混合性結合組織病、血管炎、成人スティル病、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎などの膠原病、膠原病に伴う肺高血圧や間質性肺炎の診断治療を行っています。その他、抗リン脂質抗体症候群、シェーグレン症候群、リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病、線維筋痛症など診療を行っています。また、膠原病に合併する肺高血圧症の早期発見・治療に力を入れています。膠原病の重要度は個々により異なるため、個々に応じた治療を心がけています。ステロイドの副作用を軽減させるための免疫抑制剤の導入、感染症や骨粗鬆症などの治療に伴う合併症に対する予防対策も行っています。また、関節リウマチ(RA)については整形外科と協力しながら治療しています。最近では、血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)に対する生物学的製剤による治療も難治症例では行っています。

 

臨床実績

 外来患者数は令和3年度1日平均約66人、年間2,267人。主な疾患は関節リウマチ(RA)595名、全身性エリテマトーデス(SLE)313名、シェーグレン症候群409名、強皮症 229名、リウマチ性多発筋痛症89例、多発性筋炎/皮膚筋炎96名、混合性結合組織病68名、IgG4関連疾患60名、顕微鏡的多発血管炎、高安動脈炎、側頭動脈炎など血管炎症候群185名、ベーチェット病63名、成人スティル病36名。

 入院患者数:R3年度入院患者数は425名。主な膠原病疾患では関節リウマチ(RA)37名、全身性エリテマトーデス(SLE)35名、多発性筋炎/皮膚筋炎30名、強皮症12名、シェーグレン症候群5名、混合性結合組織病5名、血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、ANCA関連血管炎、結節性多発動脈炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉解腫症、クリオグロブリン性血管炎など)46名、ベーチェット病4名、成人スティル病9名、脊椎関節炎・乾癬性関節炎1名、リウマチ性多発筋痛症6名、IgG4関連疾患2名などでした。

 主な疾患の軽快退院率は全身性エリテマトーデス(SLE)97.1%、血管炎93.4%、関節リウマチ(RA)91.8%、多発性筋炎/皮膚筋炎96.6%、強皮症83.3%、混合性結合組織病100%、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患100%。

 年間の他院・他科からの紹介患者数:年間の他院からの紹介患者数はR1年度388人、R2年度392人、R3年度420人、他科からのコンサルト数はR1年度213件、R2年度170件、R3年度169件。初診患者総数(紹介+コンサル)はR3年度593人で、H25年度323人⇒H26年度537人⇒H27年度629人⇒H28年度610人⇒H29年度702人⇒H30年度719人⇒R1年度643人⇒R2年度572人⇒R3年度593人と一定数を確保していました。

 外来診療日と時間:月曜から金曜日まで膠原病内科外来(リウマチ・膠原病専門外来)を行っています。初診の受付は午前8時30分~11時まで。紹介状をお持ち下さるようお願いいたします。予約には、地域医療連携室をご利用下さい。

 

連携医療機関へのメッセージ

 診断治療困難症例について近隣の先生方からの要請に対応していくと同時に、患者さん一人ひとりに最善かつ安全な医療を提供できるよう努力してまいります。
 膠原病・リウマチ性疾患を疑う患者さんや合併症のため治療難渋する患者さんがおられましたらご紹介下さい。各種治験・臨床研究を実施していますので、症例がありましたらご紹介いただきますようお願いいたします(別途ご案内いたします)。
 なお、名古屋MCリウマチ膠原病カンファレンスを定期的に開催していますので、是非ご参加ください。ご症例のご相談も行っています。