名古屋医療センター 呼吸器外科
― 地域に根ざした、安全で質の高い呼吸器外科医療 ―

当科は、患者さんが心から安心して治療に専念できるよう、確実性と安全性を中心に考えた「体にやさしい手術(低侵襲手術)」を基本方針として日々の診療にあたっています。名古屋大学呼吸器外科との強い連携のもと、専門医が手術から術後管理まで一貫して担当し、患者さん一人ひとりの体力や持病・生活様式を考慮したオーダーメイドの治療を提供します。

【診療の大きな特徴】

  • 安全と安心の徹底
    呼吸器外科専門医や胸腔鏡安全技術認定医のほか、医療安全の専門家としての知見を有した医師が在籍しています。病院全体で幾重にも安全確認を徹底する体制を敷いており、高度で安全な医療を提供します。
  • 痛みが少なく回復が早い「低侵襲手術」
    当科の手術は、最新のロボット(da Vinci Xi)を用いた手術と、小さな切開でカメラと器具を用いる胸腔鏡手術(VATS)の2つを主軸としています。いずれの手術も側胸部への3〜5つの小さな傷で行うことができ、精緻な操作によって体への負担を最小限に抑えつつ、より安全性と正確性の高い確実な治療を提供します。
  • チームで実現する患者さんの価値観に合わせた診療
    手術への不安を和らげていただくため、当科では明確なクリニカルパス(診療計画)を導入しています。さらに、呼吸器外科医だけでなく、呼吸器内科、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士などを含めた多職種チームが連携し、患者さん一人ひとりの価値観や生活様式に寄り添ったサポートを行います。チーム一丸となって手術翌朝からの早期離床を促すことで合併症を防ぎ、患者さんの不安を和らげながら、確実な回復へとつなげます。

【対象疾患と治療について】

  1. 原発性肺がん・進行がん
    がんをしっかり治すことと、術後の日常生活の質(QOL)を落とさないことを両立できる「最適な切除範囲」を見極めます。手術だけでは完治が難しい進行がんに対しては、呼吸器内科や腫瘍内科、放射線治療科と緊密に連携するキャンサーボードを通して、免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤、放射線治療を組み合わせた総合的な「集学的治療」を提案します。
  2. 気胸(自然気胸・続発性気胸)
    肺の表面にあるもろい袋(ブラ)が破れる気胸に対しては、1cm程度の1〜3つの小さな傷で行う胸腔鏡下手術で原因を切除します。術後の再発を極限まで減らすため、切離部分を医療用のシートで補強する工夫を取り入れています。
  3. 縦隔腫瘍(胸腺腫、嚢胞など)
    心臓や肺に囲まれた狭い領域に発生する腫瘍で、大きさが5cm以下かつ他臓器への浸潤がない場合は、体への負担が少ない最新のロボット(da Vinci Xi)を用いた低侵襲治療を行っています。
  4. その他の胸部疾患・胸部外傷
    胸壁腫瘍、他臓器がんからの「転移性肺腫瘍」や、「非定型抗酸菌症」「肺アスペルギルス症」といった炎症性疾患、膿胸に対する外科手術も幅広く行っています。また、肋骨骨折や血気胸などを伴う「重症胸部外傷」に対しても迅速な治療を実施します。
  5. セカンドオピニオン・術後フォロー
    患者さんが納得して治療方針を選べるよう、「セカンドオピニオン外来」を通じた専門的なサポートを行っています。退院後も当科において定期的な腫瘍マーカーやCT検査などを行い、再発や新たな癌の早期発見・早期治療に努めます。

【地域の連携医療機関の皆様へ】

当科は名古屋大学呼吸器外科関連施設の1つであり、常勤医3人体制で診療を行っています。地域の医療機関の先生方と緊密に連携し、ご紹介の患者様には病診連携室を通してスムーズな外来予約が可能な体制を整えています。 また、当院は3次救急医療機関として救命救急センターと連携しており、出血や肺損傷を伴う重症胸部外傷などに対して、ER(救急外来)を通して24時間体制で迅速に緊急手術や集中治療を行っています。

【研修医・医学生の皆様へ】

当科は外科専門医修練施設および呼吸器外科専門医専門研修連携施設として、専攻医や若手医師の育成に積極的に取り組んでおり専門医による一貫した指導体制が整っています。低侵襲手術(胸腔鏡・ロボット手術)から、進行がんの集学的治療、そして3次救急での外傷対応手術まで、年間130例程度の安定した手術実績の中で幅広い症例を経験できる環境です。

【診療・手術実績】手術日は原則火曜・金曜です。

  • 2025年度:手術総数 117例(肺がん:71例)
  • 2024年度:手術総数 133例(肺がん:67例)
  • 2023年度:手術総数 131例(肺がん:57例)
  • 2022年度:手術総数 124例(肺がん:60例)
  • 2021年度:手術総数 132例(肺がん:76例)