乳腺撮影(マンモグラフィ)とは


X線を使用して乳房を撮影する検査です。圧迫板という板で乳房を挟み、薄く伸ばして撮影します。撮影時間は10~15分程度です。

乳房は脂肪と乳腺組織で構成されていて、それらと良性の疾患、がん等の病気はX線の吸収・透過の差がごくわずかです。また良・悪性の判別が必要な石灰化は非常に小さく、ゴマの1/10程度の大きさです。そのため、マンモグラフィ専用のX線装置でなければ乳房の中を微細に写し出すことができません。

マンモグラフィの撮影では、乳房を引き出して均等に圧迫し薄く延ばすことが重要です。 乳房を引き出すのは、可能な限り多くの乳腺を描出するためです。乳房の引き出しが不十分であったり、患者さんが怖がって腰を引いたりすると乳房の深部が描出されず、その部分に万が一病変があっても「異常なし」という結果になってしまいます。
乳房を圧迫板で薄く延ばすのは、乳腺の重なりをなくし、微細なものも識別できるようにするためです。また、撮影に必要な放射線を少なくすることができ(被ばくも低減され)、動きによるブレもなくなります。

このように、乳房内を診るためには乳房を圧迫するメリットがいくつかありますが、圧迫することで痛みを伴うこともあります。圧迫の強さは年齢や乳房の大きさ、硬さ等で異なるため、患者さんごとに若干調整していますが、痛みの感じ方には個人差がありますので、痛みを強く感じる場合は遠慮なく担当技師に伝えてください。 

 

乳がん

乳がんは乳房の中にある乳腺にできる悪性腫瘍です。そのまま放置しておくと、乳腺の外までがん細胞が増殖し、血管やリンパ管を通って全身へと拡がります。症状は、しこり、血性乳頭分泌、乳首の陥没、皮膚のくぼみ、痛み、脇の下のしこり等です。

現在、生涯のうちに乳がんを患う人は9人に1人(50年前は50人に1人)。年間9万人が乳がんと診断され、年々増加し続けています。残念ながらそれに伴い、亡くなる人も増えています。食生活やライフスタイル等の変化による影響だと考えられております。40歳代の「がん」と診断される人の半数以上が「乳がん」とされています。

乳がんは早期発見、早期治療できれば90%以上が治ります。発見が早ければ早いほど、治療の幅も広がり、その後の生活にも影響してきます。しかし、一般の方が触ってわかるしこりの大きさは約2cm(早期発見のしこりは2cm以下)と言われています。また、乳管の中で広がっていく、外からでは触れられない乳がんもあります。自覚症状がなければ、乳がんの罹患率が増える40歳から、2年に1回の定期的なマンモグラフィ検診を受け、毎月1回のセルフチェック(自己検診)をしましょう。しこりや、痛み、乳頭からの分泌物、形の変化等異常がある場合は、検診施設に行くのではなく、早めに専門医のいる乳腺外科を受診してください。

 

放射線被ばくについて

X線撮影なので放射線被ばくはあります。しかし、乳房だけの部分的なもので、骨髄等の影響はなく、白血病等の発生はありません。

1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は、1年間に浴びる自然放射線の量の1/6~1/8程度です。大地や人体、建物の建材からも微量ですが放射線が出ています。

被ばくによる危険とマンモグラフィで得られる利益を比較すると、50歳の女性が2年に1度検査を受けた場合、検査による利益のほうが100倍大きいことがわかっています。

 

注意事項

  • 閉経前の女性は、乳房が柔らかい月経後がベストタイミングです。
  • 上半身の服は全て脱いでいただきます。
  • 髪の毛が写り込むと、病気のように見えることがあります。長い髪は束ねていただきますので、ゴムなどご持参してください。
  • ネックレスやイヤリングも写り込むことがありますので、外します。
  • 制汗スプレーやラメ入りのローション等もあらかじめ拭き取ってください。がんのサインである石灰化に似て写ることがあります。

また、ペースメーカを入れている方、妊娠の可能性の高い方、豊胸術後の方、乳房の近いところから体内にチューブを入れている方、血液をサラサラにするお薬等を飲んでいる方は、検査前に担当医師または技師にご相談ください。

ご自身で触ってわかるしこりや乳頭からの分泌、以前に受けた手術や傷跡、いぼ、ほくろや気になる症状がありましたら撮影前にお伝えください。より良い撮影と診断に役立ちます。

 

当院の特徴


当院は、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)により、画像の質、撮影に適したX線の量(被ばくが多くないか)等、装置の精度が基準を満たしていると認定された施設です。

また専門知識、技術を習得し、精中機構の認定試験に合格した読影認定医師や撮影認定技師が診療、撮影を担当します。機構に携わる著名な医師も多く、撮影は必ず女性技師が担当しております。

 

 

なごやか検診

当院は検診で異常を指摘された方に対し二次検査をおこなったり、治療やその後のフォローアップをおこなう精査施設ですが、名古屋市のマンモグラフィ検診 「なごやか検診」 も実施しております。

万が一検診で異常が見つかったとしても、その画像を活用し、乳腺外科の診察を受けることができます。追加撮影を行うこともありますが、同じ画像を撮る必要はないので被ばくは最小限に抑えられます。

検診の結果、治療が必要となった場合や、画像を前回と比較しながら読影してはじめてわかる微妙な病変など、毎年フォローアップしていかなければならない疾患の場合、当院は検診から診療まで一連で画像を診ることができるメリットがあります。

また検診で指摘された異常が良性病変であっても、経過観察が必要な場合もありますので、継続的な検診を行うことが大切です。

是非、当院での検診・受診をご検討ください。