婦人科がん (子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がん・胚細胞腫瘍)
産婦人科と週に1回定期的なカンファレンスを行い、手術予定・診断結果を共有しつつ、治療法を相談しています。腫瘍内科は各種婦人科がん(子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、肉腫、胚細胞腫瘍など)の薬物療法、化学放射線療法を担当しております。進行・再発がんの場合には適切なタイミングで遺伝子パネル検査を推奨しています。
- 子宮体がんの術後補助療法:術後再発リスクに応じて、再発予防を目的とした化学療法を行うことがあります。カルボプラチン+パクリタキセル療法(TC療法)とシスプラチン+アドリアマイシン(AP)療法が代表的です。TC療法は投与が簡便ですが、副作用として末梢神経障害(しびれ)が出現しやすいです。AP療法はTC療法と比べて点滴時間が長い、悪心リスクが高い、アドリアマイシンによる心毒性の懸念があるといったデメリットがある一方、しびれが問題となりにくい利点があります。両者の良し悪しをお伝えし患者さんと相談して治療法を決定しております。
- 進行・再発子宮体がん:長年TC療法が治療の中心でしたが2024年に大きく変化が起こりました。一次治療としてTC療法に免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)、デュルバルマブ(イミフィンジ®︎)の併用が可能となりました。さらに、がん組織のMMRタンパクという遺伝子修復に関わる性質を調べることで、MMRタンパクが正常発現している患者様にはTC+デュルバルマブ(イミフィンジ®︎)療法にPARP阻害薬のオラパリブ(リムパーザ®︎)を併用することもあります。二次治療には免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ(キイトルーダ®))+レンバチニブ(レンビマ®)という治療法があります。また、癌組織のエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体陽性の場合は内分泌治療(ヒスロン®︎)も選択肢となります。
- 局所進行子宮頸がん:化学放射線療法(抗がん剤を併用する放射線治療)は子宮頸がんに対する重要な治療法の一つです。化学放射線療法で使用する抗がん剤は世界的に標準治療であるシスプラチンを毎週投与する方法を採用しています。さらに、近年の進歩として免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)の併用や化学放射線療法の前に導入化学療法としてパクリタキセルとカルボプラチンを週に1回、6週間毎週投与する方法が加わりました。これらの選択肢の中から病状に応じた最適な治療法をご提案します。
- 進行・再発子宮頸がん:一次治療としてはTC+ペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)療法もしくはTC+ベバシズマブ(アバスチン®)療法をご提案しています。これらの治療の後には、セミプリマブ(リブタヨ®)、チソツマブ・ベドチン(テブダック®︎)、イリノテカンなどが選択肢となります。特に、チソツマブ・ベドチン(テブダック®︎)はこれまで使用されていた治療薬とメカニズムが異なり、効果が期待される薬剤ですが、眼障害のリスクがあり、当院の眼科と連携して治療にあたっています。
- 卵巣がんの初回治療:進行度によって治療法がことなります。手術できる場合は先行、手術が難しい場合は術前補助療法→手術→術後補助療法、そして術前化学療法後も手術が難しいあるいは手術を希望されない場合には薬物療法中心の治療が行われます。頻度の多い漿液性腺癌や類内膜癌というタイプでは薬物療法が効きやすく、薬物療法の役割が大きいのが卵巣がんの特徴です。初回治療の中心はカルボプラチン+パクリタキセル療法(TC療法)です。TC療法は一般的な3週ごとの投与法以外に、治療効果が高いことが報告されているdose-dense TC療法を採用しています(パクリタキセルを分割して毎週投与する方法)。さらに、ご高齢などで通常のTC療法ができない人にはカルボプラチンとパクリタキセルの両方の薬剤を毎週少量ずつ分割投与する方法を採用しております。カルボプラチンのアレルギーの方には入院でカルボプラチン脱感作療法を実施しています。ご病気の状況によってはTC療法にベバシズマブ(アバスチン®)を併用することがあります。術後の状況、BRCA遺伝子変異、HRD検査の結果によって、TC療法以外にニラパリブ(ゼジューラ®)、オラパリブ(リムパーザ®)、オラパリブ(リムパーザ®)+ベバシズマブ(アバスチン®︎)による維持療法をご提案することがあります。
- 再発卵巣がん:前回のカルボプラチンの治療から6か月以上空いていればTC療法などのカルボプラチンを含む治療を行い、奏効を得たあとにオラパリブ(リムパーザ®)などの維持療法を行います。カルボプラチン抵抗性の場合は、リポソーマルドキソルビシン(ドキシル®)、ゲムシタビンやノギテカン、経口エトポシドなど未使用の薬剤からスケジュールや副作用を含めて患者さんと相談して治療を決定いたします。2026年、明細胞癌という組織型の患者さんにPIK3CA検査の結果に基づくリソパリシブ(ハイツエキシン®)が使用可能になりました。
- その他の婦人科腫瘍(がん肉腫・肉腫、胚細胞腫瘍)に関する薬物療法も実施しています。
