肺がん・中皮腫・縦隔腫瘍

●非小細胞肺がん

当科では主に進行・再発例に対する薬物療法、局所進行例(化学放射線療法)を担当としております。詳しい組織型、がん化に強く関わる異常(ドライバー遺伝子変異の有無)と免疫チェックポイント阻害薬の効きやすさの指標であるPD-L1の発現割合で大まかな治療が決まります。

分子標的薬 BRAF V600E変異 ダブラフェニブ(タフィンラー®)
トラメチニブ(メキニスト®)
EGFR遺伝子変異 ゲフィチニブ(イレッサ®)
エルロチニブ(タルセバ®)
アファチニブ(ジオトリフ®)
オシメルチニブ(タグリッソ®)
アミバンタマブ(ライブリバント®)
ラゼルチニブ(ラズクルーズ®)
ダコミチ二ブ(ビジンプロ®)
HER2遺伝子変異 トラスツズマブデルクステカン(エンハーツ®)
ALK融合遺伝子 アレクチニブ(アレセンサ®)
ブリグチニブ(アルンブリグ®)
ロルラチニブ(ローブレナ®)
セリチニブ(ジカディア®)
クリゾチニブ(ザーコリ®)
ROS1融合遺伝子 クリゾチニブ(ザーコリ®)
エヌトレクチニブ(ロズリートレク®)
レポトレクチニブ(オータイロ®)
RET融合遺伝子 セルペルカチニブ(レットヴィモ®)
プラルセチニブ(ガブレト®)
MET遺伝子変異 テポチニブ(テプミトコ®)
カプマチニブ(タブレクタ®)
グマロンチニブ(ハイイータン®)
NTRK融合遺伝子 ラロトレクチニブ(ヴァイトラックビ®)
KRAS G12C変異 ソトラシブ(ルマケラス®)
VEGF阻害 ベバシズマブ(アバスチン®)、ラムシルマブ(サイラムザ®)
免疫チェック ニボルマブ(オプジーボ®)、イピリムマブ(ヤーボイ®)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)、アテゾリズマブ(テセントリク®)、デュルバルマブ(イミフィンジ®)、トレメリムマブ(イジュド®)
抗がん剤 シスプラチン、カルボプラチン、ペメトレキセド(アリムタ®)、パクリタキセル、ドセタキセル、ナブパクリタキセル(アブラキサン®)S-1、ゲムシタビン、ビノレルビン(ナベルビン®)、エトポシド、イリノテカンなど

非小細胞肺癌の周術期治療では、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、PD-L1発現などのバイオマーカーに応じて治療方針を決定しております。術後補助療法として、シスプラチン併用化学療法(主にシスプラチン+ビノレルビン療法)のほか、EGFR遺伝子変異陽性例に対するオシメルチニブ(タグリッソ®)単剤療法、ALK融合遺伝子陽性例に対するアレクチニブ(アレセンサ®)単剤療法、PD-L1発現陽性例に対するアテゾリズマブ(テセントリク®)単剤療法を実施しております。

また、術前・周術期治療として、切除可能症例に対する術前プラチナ製剤併用化学療法+ニボルマブ(オプジーボ®)療法、ならびに術前後プラチナ製剤併用化学療法+ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)療法にも対応しております。

切除不能根治的化学放射線療法が可能な場合は放射線療法+カルボプラチン+パクリタキセル療法を主軸として、患者様の状態に応じてカルボプラチン連日投与法を検討いたします。また、地固め療法としてのデュルバルマブ(イミフィンジ®)療法も行っております。

切除不能進行・再発の場合、表に示すような様々な遺伝子変異やPD-L1などを測定し、薬剤を組み合わせて治療を行ってまいります。

●小細胞肺がん

病変の広がり(限局型/進展型)に応じて抗がん剤+放射線治療あるいは抗がん剤治療が選択されます。一次治療において免疫チェックポイント阻害薬を選択する場合には、カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ(テセントリク®)療法またはシスプラチンまたはカルボプラチン+エトポシド+デュルバルマブ(イミフィンジ®)療法を行います。併用しない場合は、白金製剤(シスプラチン、カルボプラチン)にエトポシドやイリノテカンを併用します。また、ノギテカン、アムルビシンなどを使用することもあります。

当院では新薬の治験や臨床試験に積極的に参加することで標準治療以外の選択肢もなるべく提供できるように努めております。非小細胞肺がん、小細胞肺がんのいずれも呼吸器内科と連携して治験への参加も提案しておりますので、状況に応じて担当医からご提案いたします。

●中皮腫

病期が進行して見つかることが多く、病変の広がりから薬物療法が中心になることが多いです。免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせたニボルマブ(オプジーボ®)+イピリムマブ(ヤーボイ®)併用療法が行われます。シスプラチン+ペメトレキセドにペムブロリズマブ(キイトルーダ®)を組み合わせた治療法が本邦で承認され、治療選択肢が拡大しています。

●縦隔腫瘍

胸腺腫、胸腺がん、胚細胞腫瘍など比較的稀な腫瘍に対しても治療を行っております。通常の肺がんと治療法が大きく異なることがありますので是非ご相談下さい。また、他の臓器から肺に転移したものは転移性肺腫瘍と呼ばれ、いわゆる肺がんとは区別され、治療法も異なるため注意が必要となります。