泌尿器がん(膀胱がん、腎盂・尿管癌・前立腺がん・腎臓がん・精巣腫瘍)
泌尿器科と定期的なカンファレンスを通じて治療法を検討し、提案しております。進行がんの他、膀胱がんに対する術前化学療法も担当しております。
●筋層浸潤膀胱がん
術前化学療法を追加することで手術単独よりも治療成績が向上することがわかっております。当科ではドーズデンスMVAC療法(dose-dense MVAC療法;従来型のMVAC療法を改良し、安全性・有効性を高めたもの)、シスプラチン+ゲムシタビン(GC療法)を行っております。dose-dense MVAC療法は優れた効果が報告されているものの、実施していない施設もあり十分普及しておりません。泌尿器科と検討のうえ、適応となる方には積極的にご提案しています。また、近年免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療の開発も進んでおり、場合によって術後のニボルマブ(オプジーボ®)あるいはペムブロリズマブ(キイトルーダ®)療法をご提案します。
●進行再発膀胱がん
一次治療ではペムブロリズマブ(キイトルーダ®)+エンホルツマブ・ベドチン(パドセブ®)療法を行うことが最新の治療法です。その他、プラチナ製剤(カルボプラチン、シスプラチン)+ゲムシタビンにニボルマブ(オプジーボ®)を併用する方法もあります。その他、化学療法のみ数回実施した後、アベルマブ(バベンチオ®)に変更して維持療法を行う場合もあります。これらの治療の効果が得られない場合は異なる抗がん剤(パクリタキセル)の他、遺伝子パネル検査を実施し分子標的療法の可能性も検討します。
●腎盂・尿管がん
腎盂・尿管がんにおいても膀胱がんとほぼ同様に術前・術後の抗がん剤治療や、進行再発時の抗がん剤治療を行っています。
●前立腺がん
進行期前立腺がんに対して従来はホルモン療法(GnRHアゴニスト)±抗アンドロゲン薬を開始して、抵抗性になった場合に新規ホルモン剤(アビラテロン(ザイティガ)、エンザルタミド(イクスタンジ®)、アパルタミド(アーリーダ®)、ダロルタミド(ニュベクオ®))もしくは抗がん剤(ドセタキセル、カバジタキセル(ジェブタナ®))を使用してきました。近年は腫瘍量や病気の性質に応じて初回治療から新規ホルモン剤や抗がん剤を組み合わせた治療も行っています。複雑化しており、患者の状態や腫瘍の状態をみて治療全体の戦略を組み立てることが重要となっております。ホルモン療法が効きにくくなった場合、BRCA遺伝子の検査や遺伝子パネル検査を行ってオラパリブ(リムパーザ®)やタラゾパリブ(ターゼナ®)という薬剤が使用可能です。また、PSMA治療も導入できるように取り組んでおります。
●腎細胞がん
切除可能な場合、手術と薬物療法の組み合わせが主体となります。ペムブロリズマブを術後の補助療法として用いております。
切除不能な場合、従来の分子標的薬(血管新生阻害薬)単剤の時代から血管新生阻害薬+免疫チェックポイント阻害薬もしくは免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法に移り変わりつつあります。免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ(オプジーボ®)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)、アベルマブ(場ベンチオ®)、イピリムマブ(ヤーボイ®))および血管新生阻害薬(アキシチニブ(インライタ®)、レンバチニブ(レンビマ®)、カボザンチニブ(カボメティクス®))の組み合わせで治療されますが、薬剤選択は患者さんの状況とがんの状況をよく検討して決定されます。腎細胞がんの治療では免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を十分に使いこなすことが重要です。腫瘍内科は免疫チェックポイント阻害薬の使用経験が多く、副作用対策を整えておりますので、ニボルマブ(オプジーボ®)+イピリムマブ(ヤーボイ®)併用療法も積極的に提案し、治療に役立てています。既に有効性が示されているHIF-2α阻害薬が本邦において承認待ちの状態です。
●精巣腫瘍(胚細胞腫瘍)
適切な手術+正確な病理診断に加えて、必要な場合には綿密に計画された化学療法が行われます。精巣腫瘍、胚細胞腫瘍に対する化学療法は安全性を担保しつつ、安易なスケジュール遅延や薬剤の減量をすることなく実施することが重要となります。制吐剤やG-CSF製剤、抗菌薬等を使用し治療の完遂を目指します。 一般的なブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン(BEP療法)の他、治療抵抗性の場合にはTIP療法、VIP療法、GEMOX療法など救援化学療法や自己造血幹細胞移植を併用する大量化学療法についても対応しています。胚細胞腫瘍の手術や化学療法は薬物療法の経験が多い施設でのみ行うことが推奨されています。精巣腫瘍の方に最適な治療ができるように泌尿器科と連携しております。また、場合によっては院外の専門医とも連携を取り治療にあたっております。
