針刺し事故とは
針刺し事故とは、医療従事者が就業中に感染者血液が付着した器具によって被る外傷を代表例として示すものです。我が国におけるHIV針刺し事故後の対応は、2005年に改訂された米国・疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)のガイドラインに基づいて作成されています。なお、これまでの報告からHIV汚染血液による針刺し事故の感染率は0.3%、粘膜の曝露による感染率は0.09%とされています(C型肝炎ウイルス約2%、HBe抗体陽性ウイルス約10%、HBe抗原陽性ウイルス約40%)。
針刺し事故後の対応について
針刺し事故後の最初の対応は局所洗浄です。皮膚は石鹸と流水によって十分に洗浄、粘膜は流水によって洗浄する(口腔粘膜はうがいをする)。その後の対応は、針刺し事故の状況によって異なりますので、詳細は以下のガイドラインを参照してください。
医療従事者におけるHIVの暴露対策
予防内服について
針刺し事故における予防内服は、感染のリスクが比較的低いと考えられる場合は基本レジメン(投与)、感染のリスクが比較的高い場合は基本レジメン+拡大レジメン(投与)を推奨しています。
- 基本レジメン
- 推奨薬:AZT+3TC(or FTC) またはTDF+3TC(or FTC)
代替薬:d4T+3TC(or FTC) またはddI+3TC(or FTC)
- 拡大レジメン
- 推奨薬:LPV/RTV
代替薬:ATV+RTVまたはFPV+RTVまたはIDV+RTVまたはSQV+RTVまたはNFVまたはEFV
なお、現在のところ十分なエビデンスはないのですが、針刺し事故が起こってから予防内服までの時間は、可能であれば2時間以内に内服することが推奨されています。また、予防内服を開始した者は、副作用などの出現がなければ4週間の内服継続を推奨しています。
医療従事者が針刺し事故を起こした後の予防内服