一般検査

 

概要

患者さんから採取された尿、糞便、体腔液などを検査しています。一般検査は大きく分けると尿検査、便潜血検査、穿刺液検査(髄液、腹水、胸水)があります。

 

尿検査

尿を採尿用紙コップに半分程度採取していただき、その尿の色、濁り、成分などをみる検査です。

●尿の色:健常者の尿は普通、淡黄色および淡黄褐色です。

  • 無色   
    糖尿病、尿崩症、委縮腎など
    多尿によりほとんど無色です。
  • 黄褐色
    高熱時
    濃縮などによります。
  • 褐色
    黄疸 
    ビリルビンにより、泡まで黄色になります。
  • 赤~赤褐色
    血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿
  • 黄色蛍光
    ビタミンB2(リボフラビン)
    この他にも着色尿となる薬剤は多いです。

●尿の濁り:正常尿も多くは透明ですが、尿が濁っているだけで、病的成分が含まれていると考えることはできません。

  • 異常成分
    赤血球、白血球、粘液、上皮細胞、脂肪、細菌

●尿の成分:糖、蛋白、潜血等を試験紙で調べる検査(尿定性)と、顕微鏡で細胞成分や血球成分を調べる検査(尿沈渣)があります。

写真 尿検査写真 尿検査

 

●尿定性検査:写真のような試験紙を用いて機械にて検査しています。

  • 蛋白 健常者でも陽性(+)になることもあります。(運動後、ストレス、発熱、入浴後)
    病的なものには腎疾患、尿路感染症などがあります。
  • 糖 糖尿病の診断や治療効果の判定に有用
  • 潜血 尿沈渣中に赤血球がたくさん認められれば血尿(腎、尿路の炎症、腫瘍、結石など)。

●尿沈渣:尿を遠心して沈殿物を集めます。その沈渣を染色して細胞成分や血球成分を顕微鏡で観察します。

写真 顕微鏡

●沈渣で何が見えるの?
赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細胞、結晶などが見えることがあります。
正常でも赤血球、白血球、扁平上皮などは少し見られますが、疾患によって多数見られます。

●生化学検査
尿中の蛋白質や糖の量を測定します。

 

採尿される方へのお願い

  1. 尿を放置しておくと細菌増えたり、血球が壊れて検査結果に影響したりするので採尿後は速やかに提出してください。
  2. 尿道口の分泌物や雑菌の混入を防ぐために、なるべく中間の尿を採取した方が好ましいです。

 

便潜血検査

便を採取していただき、便に血液が混じってないかを免疫反応を利用して検査します。下部消化管(大腸など)からの出血を検出するのに適しており、食事制限の必要がありません。
  
●血便がでるのはどんなとき?
上部消化管疾患(食道癌、胃潰瘍、胃癌など)、下部消化管疾患(小腸腫瘍、潰瘍性大腸炎、大腸癌など)、痔ろう等で血便がみられます。下部消化管出血ではしばしば肉眼的血便になります。

●便を採取する時の注意点は?
便は母指頭大ぐらいの量を痔や月経の血液が混じらないように注意して採取してください。なるべく乾燥しないように速やかに提出願います(反応が鈍くなる可能性があります)。

 

穿刺液検査

●髄液検査
腰椎または脳脊髄から髄液を無菌的に採取して、色、濁り、細胞数、蛋白、糖、クロ-ル(塩素イオン)などを検査します。正常の髄液は無菌で無色透明ですが、炎症などで細胞数が増えると混濁します。くも膜下出血の早期には血液が混入して赤色となり、時間が経つと黄色に変化します。

●どんなときに髄液検査をするの?
髄膜炎(ウイルス性と細菌性の鑑別)、脳炎、くも膜下出血、多発性硬化症などの診断に用い
られます。乳幼児では頭痛、嘔吐、項部硬直などに伴い不明熱があるときに髄膜炎を疑って検査を行う場合があります。