輸血検査室

 

概要

輸血検査室では、より安全で適正な輸血が実施できるよう、輸血用血液製剤の管理とさまざまな輸血関連の検査を行っています。年間の検査実施件数は、血液型7,000件、交差適合試験4,000件、不規則抗体検査4,700件です。

 

血液型検査

輸血を行う上で最も重要視されるのが血液型です。ABO血液型(A型・O型・B型・AB型)と、Rh血液型(Rh+・Rh-)の検査を行います。日本人のRh-の割合は約0.5%(200人に1人)です。

写真 血液型検査

 

不規則抗体検査

ヒトの赤血球には、ABO血液型やRh血液型以外にもたくさんの種類の血液型があり、まったく同じ血液型の血液を輸血することはほとんど不可能です。妊娠や輸血などにより、自分とは異なる血液が身体の中に入ると、その血液に反応する抗体がつくられることがあり、これを不規則抗体と呼びます。
血液中に不規則抗体があると、輸血で副作用が起こることがあるため、不規則抗体の有無を事前に検査します。不規則抗体が見つかった場合には、その抗体に適合した血液製剤を選択しなければなりません。

 

交差適合試験

「血液型検査」「不規則抗体検査」の後、輸血に適すると思われる輸血用血液製剤と患者さんから採血された血液を混ぜ、その反応を確認する検査です。この検査で、凝集や溶血などの反応が認められないものを患者さんに適合する血液製剤とみなし、輸血が行われます。

写真 交差適合試験

 

輸血が必要な時

血液は、赤血球、白血球や血小板といった細胞成分と血漿成分からできていて、以下に示すような独自の働きをもっています。十分な血液を作れない場合や、出血が大量なために生命に危険が生ずる場合、血液を固めるタンパク質(凝固因子)が足りず出血の危険がある場合にそれらを補う必要があります。輸血は、それをヒト由来の血液または血液成分で補う治療法の一種です。

赤血球

赤血球は酸素を全身に運搬する役割をもっています。けがや手術で出血したり、血液の病気や抗がん剤等で赤血球が作られなくなったりすることを貧血といいます。貧血が高度になると組織への酸素運搬が障害され体の組織は酸素不足に陥り、心臓も含めて組織が障害されます。この場合には、赤血球液の輸血を行います。

 

血小板や凝固因子

血液中の血小板や凝固因子(血漿成分)は、出血した部位の血を止める役割を担っています。手術や大けが、化学療法などで血小板や凝固因子が減少すると血が止まらなくなり、さらに進行すると全身の皮膚、臓器に出血をきたし酸素が不足し血圧が保てなくなります。この場合には、血小板や必要に応じて血漿成分や凝固因子の補充を行います。凝固因子は、出血が起きたときに、血小板や赤血球と一緒に頑丈な血栓をつくって傷口を塞ぎます。

 

血漿

血液が血管内と心臓内に充満した状態で、心臓から駆出されることによって血圧を維持することができます。しかし、けがや手術で大量出血して、循環している血液の20-30%以上血液が失われると血圧が維持できなくなりショック状態となります。そうなると酸素が全身に運ばれませんので、生命の危機があります。こうした場合には、血管内の血液量を維持し、血圧を維持するために輸液と共に赤血球輸血、必要に応じて血漿成分/アルブミンの補充が行われます。また病気により血漿中のタンパクが減少すると、血漿が血管から漏れてくるため(浮腫)、高濃度のアルブミン等を補充して浸透圧を保ちます。

 

主な輸血用血液製剤

献血で得られた血液からは、赤血球製剤と血漿製剤がつくられ、成分献血で得られた献血血液からは、血漿製剤と血小板製剤がつくられます。

図 主な輸血用血液製剤

参考
日本赤十字社HP、日本輸血・細胞治療学会HP