循環器内科の概要

当院循環器内科は3次救急病院として循環器病棟48床にCCUを6床併設し24時間体制で診療業務に取り組んでいます。急性冠症候群(急性心筋梗塞および不安定狭心症)に対しては愛知県急性心筋梗塞システムに加入しており迅速な緊急カテーテル治療により社会生活への完全復帰を可能にすべく日々努力をしています。対象疾患は、虚血性心疾患が最も多く、心不全、心筋症、弁膜症、不整脈、肺高血圧症、末梢動脈疾患、大動脈疾患など、すべての領域の循環器疾患の診療にあたっています。心臓血管外科とも密に連携し、ハートチームで重症な心臓疾患の治療にも対応できる体制を整えています。当院は地域中核病院として病診連携を重視し循環器疾患全般にわたり完結型の高度専門医療を提供しています。総合病院である当院の責務として心血管疾患以外の病気を合併した場合も複数の関連診療科と連携し診療を行う強みを有します。

 

特色

日本循環器学会認定研修施設
日本心血管インターベンション治療学会認定研修施設
日本不整脈心電学会認定研修施設
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ロータブレーター認可施設
植込型除細動器(ICD)認可施設
皮下植込型除細動器(S-ICD)認可施設
心臓再同期療法(CRT)認可施設
リードレスペースメーカー認可施設
経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術認可施設

当院は日本循環器学会認定研修施設として学会認定循環器専門医が常駐し循環器疾患全般の診療や教育を行っています。心臓血管外科とは週2回のカンファレンスを行い手術適応について話し合い治療方針を決定しています。CCUには循環器専門医が24時間常駐し臨床工学技士も緊急時常に対応できる体制であるため、体外式心肺補助循環装置(PCPS)や大動脈バルーンパンピング(IABP)などの補助循環装置をすみやかに導入することが可能です。


【救急疾患(心臓突然死、急性冠症候群、急性心不全、重症不整脈、大血管疾患)】
循環器疾患の患者の多くは、突如として状態が悪化することがあります。当院は全国的にみても心肺停止状態で救急搬送される患者数が非常に多く、年間で400例程度の患者が搬送されます。残念ながら蘇生困難なこともありますが、心臓病が原因として疑われる心肺停止患者で自己心拍再開後も循環不全が遷延する場合には、緊急でPCPSやIABPなどの機械的な補助循環装置でのサポートを行います。当院では心原性心肺停止患者に対して脳保護を目的とした体温管理療法を積極的に行っており数多くの方が完全に社会復帰されています。
急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)に対しては、24時間365日緊急心臓カテーテル検査が対応可能な体制をとっています。循環器内科に入院となる救急疾患は、急性冠症候群以外には急性心不全や重症不整脈、急性大動脈解離などがあります。


【心不全】
高齢化社会にともない、心不全で救急搬送される方が非常に増えています。一旦入院されると今まで普通の生活を送っていた方も退院後自立した生活が送れなくなることがよくあります。当院では入院早期からベッドサイドでのリハビリテーションを開始し元の生活に戻れるようにサポートします。週1回程度、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・栄養士・ケースワーカーなどによる多職種カンファレンスを開き問題点を共有し改善策を話し合います。また入院中には慢性心不全看護認定看護師による心不全教育を行い再発防止に努めています。心不全の症状が落ち着いたあとに自宅に帰れない場合には心不全地域連携パスを使用して円滑にリハビリ転院できるようにサポートします。
当院は地域のかかりつけ医との診療連携の強化にも積極的に取り組んでおり、かかりつけ医と当院の二人主治医制を導入し心不全症状の悪化が懸念される場合にはすみやかに当院へ紹介受診できるシステムを構築しています。


【狭心症】
狭心症とは心臓を栄養する冠動脈が動脈硬化で狭くなり労作時に胸痛を自覚する病気です。狭心症の診断は12誘導心電図やトレッドミル運動負荷試験、運動もしくは薬物負荷心筋シンチ、冠動脈CT、心臓カテーテル検査などの検査を病態に応じて選択して行います。検査結果を総合的に判断して最適な治療方針を決定します。心臓カテーテル検査は実際に動脈内にカテーテルを挿入して冠動脈を選択的に造影します。冠動脈に狭窄病変がみられた場合には造影検査だけではなく血管内超音波検査や冠血流予備能比(FFR)を組み合わせて評価して治療の必要性を判断します。カテーテル治療では狭窄病変をバルーンで拡張して拡張が不十分な場合にはステントを留置します。ステントは留置せず、狭窄部位にバルーンで薬物塗布をして治療を行うこともあります。冠動脈の石灰化が高度でバルーンのみでは十分に拡張することができない場合には先端にダイアモンドをちりばめた高速回転ドリルで切削するロータブレーターやダイアモンドでコーティングされたクラウンを拘束回転させて石灰化を切削するダイアモンドバックなどで治療を行います。
カテーテルでの治療が困難な場合やリスクが高い時には、バイパス術をお勧めすることがあります。


【不整脈】
脈のリズムが乱れたものを不整脈と言います。極端に脈が遅くなったものを徐脈といい、速くなったものを頻脈と言います。不整脈がでるとめまいや失神、動悸、胸痛などの自覚症状を感じたり、心不全を発症したり、なかには心臓突然死の原因となる致死的な不整脈も含まれます。不整脈の診断には24時間ホルター心電図や長時間ホルター心電図、トレッドミル運動負荷試験、チルト試験、心臓電気生理学的検査などを組み合わせて行います。発作的に出現する不整脈には様々な検査を施行しても診断に結びつかないものもあります。その場合は前胸部皮下に植込型心電計を埋め込み不整脈の診断を行うことがあります。
適切な薬物治療を行っても症状の改善が見込めない場合には侵襲的な治療を検討します。徐脈性不整脈に対してはペースメーカー治療を行います。ペースメーカー治療のなかには重症心不全に対して行う心臓再同期療法(CRT療法)や心臓突然死の原因となる致死的不整脈に対して行う植込型除細動器などがあります。
心房細動、心房粗動、上室性頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍などの頻脈性不整脈に対してはカテーテルアブレーションを行います。不整脈の出現部位や回路を同定してカテーテルで心筋の一部を焼灼し不整脈を治療します。心房細動に対しては従来の高周波焼灼と異なり冷凍焼灼で治療を行うクライオバルーンアブレーションも行っています。


【末梢血管疾患】
足の動脈硬化が進行すると歩くと痛みを感じて休むと治まる間欠性跛行が出現します。さらに進行すると安静時に痛みを感じて足先に潰瘍が形成される場合もあります。このような症状をお持ちの方には血圧脈波検査(ABI)や皮膚灌流圧測定(SPP)などで下肢の血流評価を行い、造影CTやMRA検査、超音波検査などで確定診断を行います。それらの検査結果によりカテーテル治療あるいは外科的治療を選択します。当院では造影剤による腎臓への負担を低減するために炭酸ガス造影も行っています。また、腎臓の動脈狭窄による腎動脈性高血圧症へのカテーテル治療も行っております。


【心筋症】
拡張型心筋症、肥大型心筋症、心サルコイドーシス、心アミロイドーシスなどの特殊な心筋症に対して、心臓MRI検査や心臓カテーテル検査、心筋生検などで確定診断を行い適切な治療方針を検討します。サルコイドーシスは様々な臓器に肉芽腫を発症し様々な症状を発症する原因不明の病気です。心サルコイドーシスは致死的不整脈や重症心不全の原因になります。当院では心サルコイドーシスの診断のためにガリウムシンチグラフィーとFDG-PET検査を行っています。心アミロイドーシスはアミロイドという異常なタンパク質が沈着する病気です。心アミロイドーシスもまた致死的不整脈や重症心不全の原因となります。当院では診断のために99mTcピロリン酸シンチグラフィーを行っています。


【肺塞栓症/肺高血圧症】
息切れの症状があるにも関わらず胸部X線写真などで異常所見に乏しい場合は肺塞栓症や肺高血圧症が原因である事があります。血液検査でDダイマー上昇を認めた場合や長期臥床・担癌など血栓リスクが高い背景では肺塞栓症の鑑別が必要です。肺塞栓症が疑われた場合は造影CT検査や心臓超音波検査などを速やかに確認します。肺塞栓症は場合によっては致命的となり得るため早期診断・治療介入に努めています。同時に血栓塞栓症の原因の評価として深部静脈血栓症や血栓素因の評価も行います。必要に応じて下大静脈フィルターを留置する事で致死的なイベントリスクを回避し長期的に安定した場合はフィルターの回収も積極的に行っています。
肺高血圧症は息切れが最も特徴的な症状であるものの特異的な症状や血液検査所見に乏しく初期診断が困難な疾患の一つです。心臓超音波検査などで肺高血圧症が疑われた場合には心臓カテーテル検査を行う事で正確な診断を行います。肺高血圧症の病因は特発性、膠原病、先天性心疾患、肝疾患、薬剤性、左心疾患、肺疾患、血栓塞栓症など多岐に渡り治療のためにはその病因評価が非常に重要です。そのため、自己免疫性疾患のスクリーニングや肺機能検査、CT検査、換気血流シンチグラフィーなどを同時に行い正確な診断と治療に繋げる事を心がけています。特に膠原病関連の肺高血圧症は循環器内科のみでの評価や治療が困難である事が多いですが、当院では膠原病内科と速やかな診療連携を取れる事が強みです。定期的に膠原病内科との合同カンファレンスも行っております。


~地域連携パス~


当院では心不全や急性冠症候群(ACS)で入院された患者様の再発予防のために退院後もガイドラインに沿った治療が継続できるようにかかりつけ医との診療連携に注力しております。地域連携パスの運用にご理解、ご協力をお願いいたします。


心疾患の連携・受診について

地域医療連携病院・開業医の先生方へ


当院は地域の救急医療を維持しさらに発展させるためには連携施設との繋がりが非常に大切と感じております。些細な相談でも構いませんのでお気軽にご相談ください。緊急でご紹介いただく場合には、循環器内科医師直通ホットラインを開設しておりますのでご活用ください。


新循環ホットライン
052-961-6790
月~金 8:30~19:30、土 8:30~12:30
上記以外の時間帯は救急外来にご連絡ください。
一般の方の電話はご遠慮下さい。


治療実績


2021年 2022年 2023年
入院 急性心筋梗塞 96 108 122
心不全 377 352 354
急性大動脈解離 39 26 33
治療 経皮的冠動脈形成術(緊急) 199(95) 184(90) 236(117)
末梢動脈疾患に対するカテーテル治療 16 13 15
経皮的カテーテル心筋焼灼術 47 56 68
ペースメーカー植込み術 36 28 22
ペースメーカー交換術 20 18 20
リードレスペースメーカー植込み術 4 6 15
植込型除細動器(皮下植込型) 1(5) 1(2) 2(1)
心臓再同期療法(交換術も含む) 1 1 4