頭頸部がん
耳鼻咽喉科・頭頸部外科、放射線治療科とのカンファレンスを定期開催しております。当科では化学療法や化学放射線療法を担当しています。頭頚部がんは扁平上皮がんと呼ばれるタイプが一般的です(口腔がん、咽頭・喉頭がんのほとんど)が、一部、腺がん、悪性黒色腫などもあります。
●頭頸部扁平上皮がん(口腔・中、下咽頭・喉頭がん)
局所進行頭頸部扁平上皮がん:根治的化学放射線療法ではシスプラチン100mg/m2の3週毎投与を基本としつつも、患者様のコンディションによっては毎週シスプラチン療法、カルボプラチン療法、セツキシマブ(アービタックス®)療法およびドセタキセル療法も柔軟に取り入れています。術後照射に関してはJCOG1008試験の結果をもとに毎週シスプラチン投与療法を行っております。また、腫瘍量が多い場合は導入化学療法としてDCF(ドセタキセル+シスプラチン+5-FU)療法やPCE(パクリタキセル+カルボプラチン+セツキシマブ)療法を行っております。
ステージIIIもしくはIVの切除可能局所進行頭頸部扁平上皮がんではKEYNOTE-689試験に準じて周術期ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)療法を取り入れております。
上咽頭がん:上咽頭がんはEBウイルスとの関連が強く、他の頭頸部扁平上皮がんとは治療戦略が一部異なります。局所進行例に対してはシスプラチン併用化学放射線療法を基本とし、腫瘍量や病期に応じて導入化学療法を検討しております。近年、本邦でもゲムシタビンが保険適用となり、局所進行上咽頭がんに対する導入化学療法としてゲムシタビン+シスプラチン療法が選択可能となりました。また、再発・転移性上咽頭がんに対して、ゲムシタビン+シスプラチン+チスレリズマブ(テビムブラ®)療法が施行可能となり、国際標準に準じた治療選択が本邦でも実施可能となっています。
進行・再発頭頸部扁平上皮がん:免疫チェックポイント阻害薬が広く使用されるようになり、1次治療では5-FU+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)とペムブロリズマブ(キイトルーダ®)の併用療法を行います。ただし、状況に応じて5-FU+プラチナ製剤+セツキシマブ(アービタックス®)併用療法、カルボプラチン+パクリタキセル+セツキシマブ(アービタックス®)併用療法を選択することがあります。2次治療は行った1次治療に応じて、免疫チェックポイント阻害薬、抗がん剤、セツキシマブ(アービタックス®)の中から1次治療で使用されなかった薬剤を組み合わせます。1次治療で免疫チェックポイント阻害薬を含む治療した場合はパクリタキセル+セツキシマブ(アービタックス®)療法が治療の中心となります。
●その他の頭頸部がん
唾液腺がんに対しては、免疫染色や遺伝子検査(遺伝子パネル検査を含む)を用いて、AR(アンドロゲン受容体)、HER2蛋白(乳がんや胃がんで有名ですが、唾液腺がんの一部にも関与しています)、NTRK融合遺伝子変異といったバイオマーカーに合わせた薬物療法をおこなっております。
甲状腺がん(甲状腺乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、未分化がん、髄様がん)に対しては、病状や組織型に応じて、オンコマインDXTT®やMEBGEN™ BRAF3キットなどの遺伝子検査を行い、RET融合・RET変異やBRAF V600E変異などのバイオマーカーを確認した上で、適応がある場合にはセルペルカチニブ(レットヴィモ®)、ダブラフェニブ(タフィンラー®)+トラメチニブ(メキニスト®)併用療法、エンコラフェニブ(ビラフトビ®)+ビニメチニブ(メクトビ®)併用療法などの分子標的薬治療をご提案しております。また、遺伝子異常の有無にかかわらず、病状に応じてソラフェニブ(ネクサバール®)、レンバチニブ(レンビマ®)、バンデタニブ(カプレルサ®)を提案させていただいております。
上記以外の頭頸部がん(脂腺がん・結膜/脈絡膜メラノーマなど)の診療も可能です。いずれも希少がんと呼ばれ標準治療法が確立していないものも多く含まれますが、腫瘍内科では最新の知見を結集して診療に取り組んでいます。
